MadMoon〜月は私を狂わせる〜

第4話

 

 人間と吸血鬼の間に子供ができるなど、この日までエマは知らなかった。
いや、この世界中を探しても、そのことを知っているのはほんの一握りの者だけかもしれない。
現に、この街の中でもミシェルがハーフだということを知っている者は数えるほどしかいない。ミシェルとケビンは十年前に二人きりでこの街に越してきたので両親を知らないため、二人を義姉弟だと思っている者も多い。ひどい所では、ミシェルがケビンを操っているという噂も流れている。
狩人の制度に『人と吸血鬼のハーフを殺しても懸賞金は出ない』というものがあるのをもちろんエマは聞いたことがあるが、そんな者がこの世にいるなど本当に思っていなかったので、いざ目の前に当人がいるとどう対応すればいいのかわからなかった。
「私も他に同じハーフの人に会ったことはないけど……でも、私が今ここにこうやっているってことは、人間と吸血鬼の間に子供はできるってことだよ」
 苦笑しながらミシェルはエマにそう言った。このことを誰かに話すのは久しぶりだな、と思う。ミシェルは自分で淹れたココアを一口飲む。
 吸血鬼の血のせいで瞳は赤く、空も飛ぶことができる。だけど、人間の血のおかげで吸血鬼の弱点には全て抵抗ができている。鏡にも姿は写るし影もできる。太陽の明かりも、少し苦手とは言え、当たっても灰になるということはない。
 外の雪は止まず、地面にうっすらと雪化粧を施し始めていた。もう空は暗くなり始めていたので、出かけるのは明日にしようと言うことで決定した。
 エマも少し震えている手でココアをゆっくりと飲む。今、二人は暖炉のある居間でくつろいでいた。エマに宿をとらせるのは勿体無いということで、彼女を家に泊めてあげよう言い出したのはミシェルだったし、エマも最初は少し抵抗があったものの、すぐにOKをしてくれた。
 エマはミシェルから少し離れた所に腰を下ろしていた。まだミシェルの存在に慣れていないらしい。
初対面の人間にこういう態度を取られるのは慣れているし、それが当たり前だと思っているので、特にミシェルは何も言わなかった。悲鳴をあげられたり殺されそうになったりすることを考えると、それだけでもとても嬉しく思える。
人間の知り合いが皆無というわけではないが、それでも数えるほどしかいないミシェルにとって、こうやって一緒の部屋にいるというだけで大きな進歩だと思えた。
「ミシェルは……その、人を殺したりしないの?」
 エマがそう聞いてきたのは、カップの中のココアがすっかり冷めてしまった時だった。ミシェルは窓の外の雪に向けていた視線をエマの方に向ける。
「私は……吸血鬼に殺された人をこの目で見てきた……」
 その声は震えていた。カップを持つ手も震えていて、ココアに波が立っている。
「だから……こんなことを本人の前で言うのは悪いと思うけど、私は吸血鬼を好きになれない」
「…………」
 ミシェルは無言だった。少しだけ目を細め、首を垂らす。
 何て答えればいいのかわからなかった。
君は人を殺さないのか?
幾度となく聞かれる質問だったが、その度にミシェルはとても暗い気持ちになる。
あの記憶を甦らせないといけないから。あの、血の記憶を。
 自分の言葉に何の反応も見せてくれないミシェルを見てエマは不安な気持ちを抑えきれなくなってくる。このままこの家にいていいのだろうか。夜寝静まると、彼女が自分の血を吸いに現れるのではないだろうか。吸血鬼に血を吸われると、その人間は生き絶えてしまうと言う。それで、エマの街の人間ももう何人も命を落としている。
このまま自分も血を吸われて死んでしまうのではないか、本当にここにいてもいいのだろうか。やはり金を惜しんででも宿に泊まるべきではなかったのだろうか。
 考えれば考えるほど、思考は悪い方向へと向かっていく。エマは知らず知らずのうちに、ミシェルから目をそらしてカップに波立つココアだけを見つめていた。
これ以上、彼女の顔を凝視できない。してしまうと、呪われてしまいそうな気がしたから。
「姉さんは他の吸血鬼とは違うよ」
 二人の間の緊張を解くかのように、勢いよく扉を開けてケビンが部屋に現れた。手にはコーヒーの入ったカップが握られている。ミシェルもエマも、ハッと顔を上げてケビンの方を見る。
「人間の血は吸うのか? 十字架は大丈夫なのか? 太陽で灰になったりしないのか? ……みんな同じことばかりを聞いてくる。もうその質問には飽き飽きしているんだ。もっと他に聞くことはないのか?」
 コーヒーをすすり、おおげさに溜め息を吐いてみせる。
ケビンはいつも姉の側にいるので、いつも同じ質問ばかりを聞いていた。ミシェルに直接聞きにくい人達が、弟のケビンに質問をしに来るということも入れると、ケビンは姉より多くこの質問をされているのかもしれない。姉には、そのことは決して言わないが。
「姉さんは他人の血は吸わない。誰の迷惑もかけないから安心しろ」
 他人の。そう言った時、また首筋の傷痕がチクリとうずいた。
 嘘はついていない。ミシェルは、他人の血を吸ったことがないのは本当だし、誰かに迷惑をかけたこともない。本当はケビンの血を吸っています。などとは口が裂けても言えない事実だが。
「……そっか……」
 ケビンの言葉を聞き、エマはわずかに頬を緩ませた。ミシェルには悪いが、人間の言うことだと何となく安心ができる。少しだけ緊張が解けたのか、すっかり冷めてしまったココアを一口飲んだ。
「信じて……いいんだよね?」
 今度は、エマはミシェルの目を真っ直ぐに見つめる。あの赤い瞳は怖い。こればかりはどうしようもなかった。でも、エマは知らない。
「……うん。信じて」
 ミシェルは目を細め、頬を赤く染め、唇の両端を軽く上げてみせた。
 そう、エマは知らない。こんなに優しく笑う、吸血鬼を。
 だからかもしれなかった。ミシェルを、信じてみようと思えたのは。


「ねぇ、聞いてもいい?」
 三人が打ち解け、部屋に温和な空気が流れた時、エマが口を開いた。
「なに?」
 二杯目のココアをエマに差し出しながら、ミシェルは尋ねる。
「……聞いちゃいけないことだったら言ってね。すぐにやめるから」
 そう言ったのを聞き、ケビンは片眉をひそめた。過去の経験から、こういう前置きをされた時にいいことを聞かれたことは一度もない。
質問をされる前にそのことを忠告しようかとも思ったが、ケビンは口に運んでいたカップを少し強くテーブルの上に置くだけに留めておいた。
姉が、自分以外の人間と気軽に話をしている光景など滅多に見れないからだ。だが、本当に姉にとって失礼な質問をしたのなら、容赦はしないが。
そう思った時、エマが口元に手を当てて恐る恐る聞いてみる。
「ミシェルとケビンって、二人で住んでるんだよね? お父さんとお母さんは?」
「いないよ」
 間を入れることなくケビンが返答する。ある程度の予想はしていた質問だからだ。
 この二人に聞かれる質問は決まっている。吸血鬼に対することか、家の事だ。特に両親のことは一つ目か二つ目に聞かれる。だからケビンはその質問に対して即答するように備えていた。
 案の定、あまりの返答の早さにエマは驚いて目をぱちくりとさせながらケビンの顔を見る。
だからエマは気づかなかった。ミシェルが下を向き、体を小刻みに震わせていたのを。
「……あ、そうなんだ……」
 その時の、ケビンの苦い顔を見て、これは触れてはならない話題なのだと、エマは察した。
でもこれだけは聞いておきたいと思い、ケビンから視線を逸らしてミシェルの方をじっと見る。
「ねぇ、ミシェル」
「……なに?」
 さっと顔を上げたミシェルの顔にはうっすらと汗が滲んでいた。その笑みもあまり自然なものでないため、動揺を隠しきれていないとケビンは一目見てわかった。
エマにバレないかと心配したが、エマも少し顔を伏せていたので、ミシェルの変化に気がつくことはなかった。
「ミシェルは……お父さんが吸血鬼なんだよね?」
 三人の間に、緊迫した空気が流れる。エマは構わず続けた。
「ミシェルのお父さんってどんな人?」
 ガシャン。とカップが落ちる音がする。
見るとケビンが口に運びかけていたカップをテーブルに落としてしまっていた。倒れずに済んだが、カップの底が少し欠けてしまう。そのケビンの顔は青ざめていた。
「私の……父さん?」
 しかし、ケビンとは反対にミシェルの目はじっとエマを真っ直ぐに見つめていた。少しの曇りもない、その赤い瞳。エマは思わずドキリとしてしまう。ミシェルは少しだけ目を伏せさせ、口を開く。
「私の父さんはね……」
「姉さん!」
 ミシェルが口を開いたのとほぼ同時に、ケビンが立ちあがりながらそれを制しようとする。
エマは驚いて二人の顔を交互と見やったが、ミシェルは相変わらず和らいだ表情を浮かべている。
「大丈夫よ、ケビン」
 その表情を見るとケビンは何も言い返せなくなってしまう。
この、たまにしか見せない『姉』の顔。ケビンは渋りながらも椅子に座りなおす。それを確認すると、ミシェルは続けた。
「正直言うと、私も自分の父親のことは詳しく知らないの。……私が生まれてすぐにいなくなったらしいから」
 いなくなった。その言葉にエマは違和感を覚える。ミシェルは続けた。
「でも、母は口癖のように言っていた。私達は愛し合って結婚したのだって。……でも、母は知らなかったの」
 そこまで言って、大きく息を吐く。肺に溜まった空気を全て吐ききってしまった後、また吸い込む。
その小さな口から次に紡ぎ出された言葉は暖かな部屋を一瞬にして凍らせてしまうほどの力を秘めていた。
 ミシェルは唇を舐めた。一言一言、確かめるように呟く。
「父が吸血鬼だと言うことは」

 夜空にたなびく金の髪、雪のように白い肌、すらりと伸びた背には、黒いコートがよく似合う人だ。と母は言っていた。神秘的な金色の瞳が、月みたいでとても美しかった、と。
 ……そう、父の目は赤い色をしていなかったのだ。それがなぜなのかはわからない。ただ、母は父と出会った。どういう経緯だかは聞いていないけど、二人はとても愛し合っていた。
……少なくとも、母はそう思っていた。
 でも、その幸せな日々もわずか二年でピリオドを打つことになる。母が妊娠したのだ。母は喜んでそのことを父に打ち明けた。父も、その時は喜んでくれていたと聞いている。
 そして、十ヶ月後に一人の女の子が生まれた。母は喜び、父も喜んだ。……でも、その幸せは長く続かなかった。
 ある日、母はいつも通り我が子を抱き上げ、喜びに浸ろうとした。……でも、生まれて初めて目を開けた赤ん坊を見た瞬間、母はその場に凍り付いてしまった。
 赤ん坊の目は、赤かった。人の血のように、艶かしい赤色をしていたのだ。
 その時に、母は知った。自分の愛した男が吸血鬼だと言うことを……
 母は父に問おうとした。だけど、父は見つからなかった。その日を境に、父は私達の前から姿を消した。母は何日も何日も待っていたが、父が再び私達の前に現れてくれる日は、二度と来なかった。
元々、父は母を愛してなどいなかったのだ。そう思うしかないと、母は泣きながら言っていた。
 だが、風の噂でこんなことを聞いたことがある。
『金の髪の美しい吸血鬼が、死の直前に夢を見せてくれる』と。
 母は、それが父のことであると確信していた。吸血鬼は、黒髪が普通である。金髪の吸血鬼など、今まで目撃例がないのだ。
 なぜ、父が母と結婚して私を産ませたのかはわからない。
……ただ、父は今でもどこかで生きている。それだけははっきりとわかっている。……別に探そうとかそういうことはしようとは思わない。
 母もあの後義父と出会い、再婚し、幸せな日々を送れていた。私も物心が付いた頃から義父がそばにいたのでそれが当たり前の光景だと思っていた。
……ただ、母が時々私の顔を見て何かを思い出したかのように泣くのだ。
それは、誰かの名前を呼んでいるかのように思えた。どんな名前だったのか、誰の名前だったのかはわからないが、思えばあれは父の名前だったのだろう。
私はあまり母とは似ていなかった。多分、父親似なのだろう。直に聞いたわけではないが、なんとなく理解していた。
母は私の顔を見ていなくなってしまった父の面影を重ねていたのだと思う。……だから、人知れずに泣いていたのだと思う……

 ミシェルの口調はとても穏やかだった。もう、この話も何度かしてきた。
聞いてくれる誰もが真剣な顔でミシェルの話に耳を傾けてくれていたので、ミシェルもとても話しやすかった。
「だからね、私も父親のことはよく知らないの。ごめんね」
 ミシェルは最後にそう言って、ニコリと微笑んだ。その笑みを見て、エマはなぜか自分が悪いことをしてしまったのではないかと思ってしまう。
「ま、見つけたら見つけたで一発ぶん殴るくらいはしてやらないと、俺の気が済まないけどな」
 そう付け加えたのはケビンだった。一瞬だけ眼光を鋭くし、カップに残っていたコーヒーを一気に飲みほす。
「またケビンはそんなこと言って……」
 ミシェルは眉根に皺を寄せ、頬をぷうっと膨らませる。
「当たり前だろ? 姉さんと母さんを捨てたんだぜ?」
「でも、私の父親がいなくならなかったらケビンは生まれなかったのよ?」
「それはそうだけど……」
 言いながらも、ケビンは溜息を吐いて顔を渋らせる。
その時のミシェルの呆れたような表情から察するに、この会話は幾度となく交わされたのだろうとエマは察した。その度に、ケビンはこうやって顔を渋らせ、ミシェルは呆れた顔を彼に向けていたのだろう。
 吸血鬼と人間との間に生まれた女と、その女を姉に持つ男……。確かに、吸血鬼狩りが盛大に執り行われているこの時世に、周囲からの世間体は悪いだろう。
でも、この幸せそうな姉弟を見て、エマはちょっぴり羨ましく……そして、嫉ましく思った。
 今、エマの街は荒れている。吸血鬼騒動は、人々の恐怖心だけでなく、闘争本能までも甦らせてしまっていたのだ。街は吸血鬼だけでなく、盗賊までもが現れるようになり始めている。弱者は日々人と吸血鬼に怯え、毛布に包まって家の中で震えている。誰かに扉を叩かれるたびに、部屋の隅で丸くなっていないといけないのだ。
……それなのに、この姉弟はなんなのだ? 同じ吸血鬼なのに、お前の仲間のせいで私達はこんなに怯えて暮らしているのに、どうしてお前はこんなに笑顔で、暖かい暖炉に囲まれて過ごしているのだ? 私の街ではもう、暖炉にくべる薪さえ底を尽きてきているというのに……
 駄目だ。恨む相手を間違えている。そう思いつつも、エマはこの目の前の少女を恨まずにはいられなかった。今日は寝ようかということになり、エマに特別に宛がわれた部屋のベッドに腰を下ろしても、どうしても眠れそうになかった。
吸血鬼への恐怖は、狩人になってまだ半年しか経たないエマには脅威すぎたのだ。布団を頭から被り、エマは体を震わせながら涙を噛み殺した。


 自分の部屋に戻り、ケビンは机に向かって座った。スタンドの電気を付けようと手を伸ばした瞬間、また首筋がチクリと痛んだ。反射的に首筋を押さえ込んだが、ケビンの苦痛に歪んだ口元に、やがて笑みが浮かび始めていた。
この首筋が痛む度に、姉に血を吸われた時の夜を思い出す。そして、思い出す度にケビンはなぜか腹の底から笑ってしまいたい気分に駆られるのだ。なぜなのかは、わからないが。
 ケビンは、背もたれに背をあずけ、上半身を仰け反らせながら笑った。部屋からは漏れないほどの、小さな声で……
 笑って笑って笑いまくった後、ケビンは首筋から手を離した。痛みが治まったのだ。だが、この痛みをまだ感じていたい。そう思った。ケビンは、首を押さえていた手のひらを見つめながら、ぼうっとそんなことを考えていた。
 ……どうすれば、この痛みをまた感じることができるのだろうか……。
そう考え、何気なく扉のほうを見つめる。
 ……そうだ、あの扉の向こう側にいけばいいのだ……。
 ふらつく足で立ち上がり、ケビンは扉のほうに向かった。ドアノブを握り締め、軽くひねる。
このまま扉を引いてしまえば、簡単に道が開ける。……のに。
「……ぐ……!」
 ケビンはそのままその場にうずくまってしまう。ドアノブを握り締めたまま、膝を折り、体を丸くする。その額には玉のような汗が滲んでいた。
(……ダメだ、ダメだ、ダメだ……!)
 このまま扉を開けてしまうと、今まで我慢していたものが全て台無しになってしまう。この二十一年間で築いてきた物が、音を立てて崩れてしまう。
今、姉を見ると理性を全て失ってしまう! ケビンは必死に衝動に駆られてしまいそうになる自分を抑えこむ。ダメだ。という自分と、扉を開けてしまえ。という自分が頭の中で交錯する。その気持ちを払いのけるかのようにケビンは激しく頭を振った。
「……ハァ、ハァ、ハァ……」
 ドアノブから手を離してケビンは立ち上がる。全身から汗が吹き出していた。折角着替えたのに、また着替えなければいけないな……ケビンは軽く頭を押さえて大きく溜め息を吐く。
……今日も、なんとかこの感情を抑えることができた。幾度となく襲ってくるこの感情に、ケビンは一人で立ち向かっていた。もちろん、姉には言えないでいる。言うと、ひょっとしたら自分が血を吸っているのが原因ではないかと心配をさせてしまうからだ。
自分が苦痛に苛むことは苦としない姉のことだ。無駄な心配を掛けたくはない。……それに……
 知らず知らずのうちに、ケビンは口元を不気味に歪ませていた。
 ……それに、この心地よい感情をもう少し味わっていたい……
 そう考えた瞬間、ケビンはハッと我に返る。
今、自分は一体何を考えていたのだ……?
 わななく手で自分の顔を覆う。その時、自分が大量の汗をかいていたのだと初めてわかった。
 ……俺はいつまで、この感情を保っていられるのだろうか……
 日増しに強くなる、己の願望。……俺は、姉をどうしたいと言うのだ……あの感情に襲われたときに姉に会ったら、俺は姉に何をしてしまうのだ……
 ……恐ろしかった。そう考えながらも、姉に対する欲望を満たしてみたいと願う自分がとても恐ろしかった。
 ケビンはベッドに座り、窓から外を眺めてみる。そこから覗けるのは、狂おしいほど光り輝く満月。その月を見た瞬間、ケビンは心臓が高鳴るのを感じた。
 月は狂気。人を狂わせるための、最終兵器。
 月は彼女を狂わせる。その度、俺の心も狂ってしまう。……だが、俺はそれを望んでいて……
「……っ!」
 ケビンは顔を醜く歪ませた。その迷いを打ち消すかのように、着替えもせずに布団の中に潜り込む。
そうすれば、何も考えずに済むような気がして……
 ……月は、俺を狂わせるんだ……

 

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